介護老人保健施設 しょうわ
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28 異物と正論

 異物と正論

 

患者A 85歳 男性 

主病名●アルツハイマー型認知症 2日前から肺炎のため治療開始。

熱●38℃、脈●150/分以上(頻脈)、血圧●200/100以上、SpO2(血中酸素飽和度)●70%台。

施設内に抗不整脈薬なし。

17:30救急受診を病院に依頼。

 

<入院をお願いしたいのですが> 病院B「男性ベッドが無いので受け入れできません。」<入院の場合、状態が改善したら、不穏状態になった際すぐに施設へ受け入れします。>病院C「循環器内科医師が不在のため受け入れできません」

<施設治療薬がないので、せめて外来診察をして必要な薬剤を処方してもらえませんか。>病院D「当直が消化器内科のため診察できません。」

<後は施設でみますから外来診察だけでもお願いできませんか。>病院E「内科医が当直していないので無理です。救急車を頼まれて、救急隊に探してもらったらどうでしょう」

 結局8病院に断られ、家族が病院受診を希望するので救急車を要請。

 9:00 茨城の病院がやっと受け入れてくれました。救急隊のみなさん有難うございます。

 

 認知症の3文字を出したら埋まってしまうベッド。認知症の3文字を出したとたんに専門じゃなくなる当直医。何度同じやり取りをしただろう。

 理不尽。おかしいよ。世の中変だよ。いくら叫んでみても変わらない。いくら病院を批判しても何も変わらない。

 「精神科医だから私にはみられません」そう言えたらどれだけ楽か。でも結局困るのは患者であり家族。だから始めた医療行為。そうです私は医師ですから。

「老健は医療できないから」「しょうわだからできること。うちではできません」「しょうわは特別」

 特別でも何でもないですよ。みなさん忘れていませんか。私は精神科医です。

 肺炎。尿路感染。褥瘡。大腿骨頚部骨折術後4日。脳梗塞、脳出血急性期、慢性硬膜下血腫血腫除去術後3日。今、消化管出血による吐血中。胃癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、前立腺癌、とにかく初期から末期まで。毎年何人看取らせてもらっているかな。

 高齢者と認知症は病院から断られるんです。だから、やるしかないんです。

 病院では高齢者は「長くなるから、帰らないから」認知症はちょっと騒ぐと「認知だから」「先生なんでこんな患者入院させたんですか」(by Ns)。病院勤務の頃によく看護師に怒られました。今もどこかで怒られる医者がいるんでしょうね。

 そんな中で、薬でおとなしくされ、手足を縛られ寝たきりになる人達。世の中の寝たきり、胃ろうの患者のどのくらいが医原性ですかね。統計を取ったら恐ろしいことになりますよ。厚生労働省でも大学でもいいです。どなたか偉い先生、調査してください。家族が黙っちゃいませんよ。

 いつの間にやら、診ろと言われればなんでも診ます。今は診られなくても次には診られるようになりたい。14年経ちました。そうです私は精神科医です。