地域に根ざした介護老人保健施設を目指して
~介護老人保健施設の在り方を考える~
はじめに
当施設は平成10年に開設、8年目を迎える介護老人保健施設である。「家で死ぬ」の理念のもと、通所リハビリテーション150名・入所100床・訪問看護しょうわ・居宅介護支援事業所しょうわ(平成18年7月現在)にて運営を行っている。
理念に示される「家」とは、その人の生きざまを指し、その人が最期までその人らしく生活できる場所を探していくこと、また、その人の生きざまを尊重し、共に寄り添うことを目指している。
平成12年の介護保険法施行から5年が経過し、平成18年4月には介護保険法が大きく改正され、在宅復帰率加算などが導入されることで介護老人保健施設は老人福祉法に基づく本来の意味での在宅復帰施設をより強く求められるようになった。
当施設は、開設当初より在宅復帰支援施設として、在宅介護支援を行ってきた。しかし、近年、介護保険の動向や顧客ニーズを捉えていく過程で、新たに第3の居宅と呼ばれるグループホーム等への転所が可能なまでに身体機能および精神機能を回復させるという役割も見出し始めている。
今回、当施設の新規顧客数推移・在宅復帰率等の実績を振り返り、地域に根ざした施設を目指す取り組み、また、今後の介護老人保健施設の在り方について考察する。
老健の役割について
介護老人保健施設の役割として以下3点より実績を振り返る。①家庭復帰施設
当施設の家庭復帰率は平成18年7月現在、短期入所を含み98.92%(当施設の長期入所者のみでは80%)を超えている。家庭への復帰はもちろんのこと、第3の居宅であるグループホーム等への転所を見据え、介護老人保健施設でしかできないリハビリ・医療面での援助を行い、“その人”のニーズに合った場所を探っていくことも重要な役割ではないだろうか。
その点において、当施設では送迎可能な範囲での受け入れだけでなく、遠方の方の受け入れを、上記、第3の居宅への復帰も含め、他の施設(デイサービス等)の利用が可能なまでに身体機能・精神機能を回復させる役割も担っている。
②在宅介護支援施設(包括的ケアサービスの提供)
家庭への復帰を行っても、多角的なサービスを常に受けられなければ在宅介護を断念せざるをえない。一日でも長く居宅での生活が維持できるよう、援助を行うことも重要な役割の一つである。当施設では、共働きの方でも仕事を犠牲にせず、家族の生活パターンを崩すことなく介護が行えるよう、早朝・延長デイケアのサービスを導入している。また、緊急の短期及び長期入所の受け入れや24時間体制の訪問看護・往診も行っており、これらのサービスを組み合わせ看取りまで総合的なサポートを行っている。
③地域に開かれた施設
介護老人保健施設への入所の間、地域の介護支援専門員が当施設へ来所し、サービス調整会議やケアカンファレンスへ参加。入所中の施設ケアプランについて施設介護支援専門員や支援相談員・介護スタッフ等を交え、お互いの情報交換を行うことができる体制を整えている。そのため、今年度新規利用者のうち急性期病院より当施設への入所をされた方の平均在所日数は約40~60日と短く、退所後も居宅の介護支援専門員が在宅介護プランをスムーズに計画できるように連携を図っている。
考察
介護保険の改正や利用者様のニーズ、求められる介護の質が変化する時代において、介護老人保健施設に求められる在り方とは何か。
当施設では、家庭復帰や在宅介護支援を行っていることはもちろんのこと、さらに介護老人保健施設がリハビリや医療面でのサポートを行える特長としてさまざまな職種が情報をいつでも話し合え、施設間の壁を越え、その人が地域で生活していくための計画を立てていく。医師をはじめとする他職種のスタッフが情報交換を常に行えること、その体制を整えることが地域に根ざした施設と提唱されるのではないだろうか。
また、介護保険が改正をされていく中で、家族・利用者のニーズに耳を傾け、形となっている施設こそが本来の介護老人保健施設の在りかたではないだろうかと考える。
おわりに
介護老人保健施設が本来の役割(病院と家庭との中間施設)を果たす仕組みを整えること、今後も支援相談員としての立場から介護老人保健施設が果たすべき役割を見据え、質の高いサービスの提供、そして「その人らしく」最期を迎えるための支援とは何かを考えていきたい。