歯を磨こう!!
私たちの日常生活の中で歯を磨くことは特別のことではありません。皆さん少なくとも1日1回は洗面台の前に立ち、容姿を整え、歯を磨くことでしょう……。そんな日常の普通に行われていた口のケア(歯を磨くこと)が、介護の中では忘れられがちでした。
高齢者、要介護者にとって歯を磨くことは、できなくなってしまったのではなく、きっと私たちが歯を磨く環境を作らなかったためなのではないでしょうか。当施設では、ご利用者様が歯を磨ける環境を作り、口のケアを積極的に行っています。
歯を磨くと口腔内疾患(虫歯、歯周病、味覚低下等)の予防はもちろん、目が覚めたり、気持ちが切り替わったり、爽快感を得たりします。事実、歯磨き後のご利用者様からは「あーさっぱりした!」「久しぶりによく磨いたよ」「入れ歯を洗ってくれてありがとう」と笑顔で言葉が聞かれます。また、ご自分から口をゆすぎにいらしたり、バックの中から歯ブラシを取り出して磨く方もいらしたりと、歯を磨く環境が整うことが生活リハビリのひとつとなっているのです。
ある時、面会にいらしたご家族様よりベッドサイドで「元気な時は歯医者さんへも行き、歯磨きもよくしていたのに…」とうかがったことがあります。口腔内を確認させていただくと、確かに入れ歯も歯もしっかり治療されており、とても気にされていた様子がうかがえます。きっとご自分で「歯が磨けたら…」、「歯医者に行きたい…」、そう思っていらっしゃると感じました。そんな時、施設の理念である「その人らしく生きる」を尊重し、お手伝いができたらと思うのです。
もし数か月、数年と歯磨きをしていなかったら…口の中は大崩壊。食べることが困難な口へと変化してしまいます。義歯による傷、壊れたまま使用している義歯、外されたままの義歯。グラグラした歯、虫歯、歯垢に覆われた歯、真っ白な舌、乾燥した口の中。こんな口だったら、痛みが生じて食べられない、そして食べたくないに変わってしまいます。ですから、高齢者・要介護者の方の“歯を磨く”は、とても大切なことと同時に大変なことなのです。